イカ丸の研究日和

大学院生の研究やら日常やらを綴っていく小さなブログでございます

脳に捉われる

みなさんこんにちは。本日2回目の更新をしますイカ丸です。


2回目の更新では、今自分が考えている研究について、まとめたいと思います


現在考えている研究の中心には、「社会脳仮説」があります
社会脳仮説とは・・・
「霊長類において、脳のサイズが社会的な関係を持つ群れのサイズと相関する」
というものです。


つまり、社会的な群れ(社会性と言います。例えば、他の個体とやり取りをしたり、群れの中で役割を持っていたりします。真社会性昆虫のアリやハチなんかが良い例ですね)を持つ霊長類は、脳のサイズが大きくなるよ、という仮説です


これは、群れの中でいろんな個体とコミュニケーションを取ったり、役割を果たしたりするので、大きな脳が必要になったためだと考えられています


これにより色んな動物でこの仮説が当てはまるのかについて調べられています
しかし、最近ではこの仮説に対して反対の結果が多く出ています


例えば、群れを作るキツツキの種、ペアを作るキツツキの種、単独性のキツツキの種について脳サイズについて調べると、群れを作るキツツキの種が最も脳が小さいということが分かりました (Fedorova et al. 2017)
これは霊長類のように群れの中で競争したり順位をつけたりするような群れ関係ではなく、共同としての群れだからだそうです


さらに昆虫でも似たような結果が出たのですが (Farris 2016)、中には社会脳仮説が当てはまる結果がアリやカササギフエガラスという鳥でも出ています (Kamhi et al. 2016; Ashton et al. 2018)


結果としていまだに、脳と社会性の関係性は議論されたままです


頭足類、つまりイカやタコではこの社会脳仮説については調べられていません
イカ、特にアオリイカという種では社会性が発達していて、他の個体とコミュニケーションを取ったりしています
つまり、この仮説を調べる価値は十分にあります!


なので、自分はこの社会脳について常日頃から考え続けています
彼らの群れがどのように脳に影響してくるのか
逆に脳が群れにどのように影響を与えるのか


他にも社会性と脳の関係について不思議なことが多くあるはずです
無脊椎動物なのに脊椎動物の様に大きな脳を持ち、行動も多様な頭足類はなんとも不思議な生き物で気になってしまいますね~


今日はこの辺で。ではでは。


追記. 引用したのに文献書くの忘れてました(;'∀')。しかも、引用の仕方間違えてたし・・・



引用文献
Ashton, B.J., Ridley, A.M., Edwards, E.K. and Thornton, A. 2018. Cognitive performance is      linked to group size and affects fitness in Australian magpies. Nature, 554: 364–367 
Farris, S.M. 2016. Insect societies and the social brain. Current Opinition in Insect Science   15: 1-8
Fedorova, N., Evans, C.L. and Byrne, R.W. 2017. Living in stable social groups is associated   wirth reduced brain size in woodpeckers (Picidae). Biology Letters 13: 20170008 
Kamhi, J.F., Gronenberg, W., Robson, S.K.A. and Traniello, J.F.A. 2016. Social complexity   influences brain investment and neural operation costs in ants. Proceedings of the Royal   Society B 283: 20161949

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